要点:「残置物の処理等に関するモデル契約条項」は、賃借人が亡くなった後の賃貸借契約の解除と、部屋に残された荷物(残置物)の処理を円滑に行うために、国土交通省と法務省が示している契約書のひな形です。入居時に、あらかじめ「受任者」を決めて契約しておく仕組みで、すでに退去した後に、同意書の代わりに使うものではありません。
※この記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、法的な助言ではありません。契約書の作成や、個別の判断が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください。
この記事でわかること
- モデル契約条項の目的と、3つの構成
- 対象となる賃借人と、使える場面・使えない場面
- 受任者の役割と、廃棄しない残置物の指定
- 通常の同意書・覚書との違い
- 条項がない場合の、退去後・死亡後の進め方
残置物の処理等に関するモデル契約条項とは
単身の高齢者が亡くなると、相続人の有無や所在がわからず、賃貸借契約の解除や、部屋に残された荷物の処理が進まないことがあります。そのため、貸主が高齢者の入居を不安に感じることがある、という課題がありました。この課題に対応するため、国土交通省と法務省が、令和3年6月に「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を公表しました。令和7年10月には、第2版が作成されています(国土交通省:残置物の処理等に関するモデル契約条項)。
3つの構成と、受任者の役割

モデル契約条項は、次の3つから成ります。
- 解除関係事務委任契約:賃借人の死亡後に、賃貸借契約を解除する手続きを、受任者に委任する契約。
- 残置物関係事務委任契約:賃借人の死亡後に、残置物を廃棄したり、指定された送付先へ送ったりする事務を、受任者に委任する契約。
- 賃貸借契約の特約:賃借人と賃貸人が結ぶ賃貸借契約に、上記の内容を盛り込むための特約の記載例。
受任者は、賃貸人以外の第三者(居住支援法人など)のほか、状況によっては賃貸人が務める場合も想定されています。受任者の選び方は、契約の内容や、利益が相反しないかどうかも含めて、専門家と相談して決めるのが一般的です。
対象となる賃借人と、使える場面
- 対象:入居時に60歳以上の単身の賃借人が想定されています。
- 使える場面:賃借人が亡くなった後の、賃貸借契約の解除と、残置物の処理です。
- あらかじめ必要なこと:入居時に、賃借人と受任者との間で、委任契約を結んでおきます。
このため、すでに退去した入居者の荷物や、行方不明の入居者の荷物を処理するための手続きではありません。そうした場合は、次の章のとおり、別の確認が必要です(行方不明・夜逃げの場合は貸主・管理会社が先にすること)。
廃棄しない残置物の指定と、財産的価値のある物
残置物関係事務委任契約では、あらかじめ「廃棄しない残置物」を賃借人が指定しておくことができます。指定した物は、受任者が廃棄せず、指定先へ送付する扱いになります。また、財産的な価値のある物については、受任者が換価(現金化)に努めるといった考え方が示されています。実際の取り扱いは契約の内容によって決まるため、書式の原本で確認してください。
通常の同意書・覚書との違い
| モデル契約条項 | 退去後の同意書・覚書 | |
|---|---|---|
| 結ぶ時期 | 入居時(生前) | 退去・契約終了の前後 |
| 想定する場面 | 賃借人の死亡後の解除・残置物処理 | 退去後に残った荷物の処分 |
| 相手方 | 賃借人と、受任者(委任契約) | 入居者本人、または相続人 |
| 主な内容 | 解除の代理権、残置物の廃棄・送付、廃棄しない物の指定 | 所有権の放棄、処分の同意、費用負担、貴重品の扱い |
退去後に荷物が残った場合の同意書・覚書の項目は、賃貸の残置物は勝手に処分していい?同意書・覚書で確認することで解説しています。
モデル契約条項がない場合の進め方
- 契約書を確認する:残置物の扱いや、連帯保証人・緊急連絡先に関する条項があるかを見る。
- 入居者本人、または相続人に連絡する:連絡先は、連帯保証人・保証会社・緊急連絡先から確認する。
- 書面で同意を取る:所有権の放棄や処分の同意を、同意書・覚書で残す。
- 連絡が取れない場合は専門家へ:法的な手続きが必要になることがあるため、弁護士や管理会社に早めに相談する。
- 貴重品・重要書類を確保してから撤去する。
入居者が亡くなっていた場合の考え方は、同意書・覚書の記事と、残置物とは?意味・誰の物か・勝手に処分してよいかを解説をご覧ください。
これから契約する貸主・管理会社の方へ
これから入居する単身の高齢者との契約では、モデル契約条項の活用を検討する価値があります。書式(Word・PDF)と、使い方を説明した活用ガイドブックが、国土交通省のページで公開されています。使う場合は、内容を確認したうえで、専門家に相談することをおすすめします。
残置物の撤去は、お任せください
契約や同意の確認が済んだあとの、荷物の仕分け・搬出・処分は、当社が対応します。退去日・売却日が決まっている方は、まずお電話ください。050-3152-1920(受付8:00〜21:00・年中無休)。写真を送っていただければ、LINEでも概算をお伝えします。メールでのお問い合わせは24時間受け付けています。対応内容は残置物撤去・処分、費用は残置物撤去の費用相場と、誰が払うかをご覧ください。
よくある質問
モデル契約条項は、法律で使うことが義務づけられていますか?
義務ではありません。国土交通省と法務省が示している、任意に使えるひな形です。
退去後の荷物の処分に、モデル契約条項は使えますか?
使えません。入居時に、賃借人と受任者が委任契約を結んでおくことが前提で、賃借人の死亡後の手続きを想定しています。退去後の荷物は、同意書・覚書などで確認します。
60歳未満の入居者には使えませんか?
モデル契約条項は、入居時に60歳以上の単身の賃借人を想定して作られています。それ以外の方に使う場合の扱いは、書式の原本を確認し、専門家に相談してください。









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